前田恵理子: 第一線の放射線科医で患者である私の当事者研究

東大病院の放射線科医として循環器画像診断や医療被ばくを専門としています。患者と中高時代以来の超重症喘息と闘いながら受験やキャリア形成、結婚・妊娠・出産を乗り越えてきました。2015年以降肺癌(腺癌→小細胞癌への形質転換)を6回の再発、4回の手術(胸腔鏡3回、開頭1回)、3回の化学療法、2回の放射線治療、肺のラジオ波焼灼、分子標的薬治療により克服しました。脳転移と放射線壊死による半盲、失読、失語も日々の工夫で乗り越えています。医師・当事者としての正確な発信が医学の進歩に帰することを願っています。

WHO小児被ばくイベントに参加しました

WHOの教育機関であるGeniva Foundatioは、″WHO Scholar Level 1 course on radiation risk communication to improve benefit-risk dialogue in paediatric imaging″というインターネット上のコースシリーズを開講します。3月末ー5月末まで全13回、6時間x週の予習が必要で、火曜日に週1回世界中か参加者が集うインタラクティブ授業があります 

もともとはといえば、在宅勤務中でもなければなかなか挑戦する暇がないと思って申し込みをしたのですが、教える側として登壇することになりました。

3月2日日本時間22時には、専門家向けのspecial eventが開催され、国立成育医療研究センターの宮嵜治先生と、参加しました。


www.learning.foundation

当日の動画はこちらから視聴できます。

www.learning.foundation

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WHO Geniva Foundationの小児被ばくに関するspecial eventでコメントする宮嵜治先生

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WHO Geneva FoundationのSpecial eventでコメントしています

Special guestは、WHOのMaría del Rosario Perezと、Image GentlyのDon Frush。Geneva Foundation側の司会をつとめたReda Sadkiらが、”Our God mother and God father”と表現していましたが、小児被ばく業界ではまさに、そんな存在のお二人です。

登録者からの事前コメントやその場で寄せられるSNSYoutubeへのコメントのうち重要性の高いものに応えていく60分間のイベントでしたが、スーパースターの登壇に、世界中から3302名の参加者が集まりました。
これだけ参加者がいても、東アジア人からのコメントはほぼ皆無です。その中で、宮嵜先生が我々のコメントがスクショしてくださりました。グローバルデビューだ(笑)!
ゲストも大物ですが、WHO側の演出もすごくて、普通にアーティストのライブとして楽しめるレベルです。グローバルスタンダードを見ると、日本の学会も、もっとこういう工夫が必要だよなー。
そんな演出の力もあってか、本家コースへの参加者は1280名あまりに増加していました。3月23日から始まるコースシリーズでは彼らを指導者としてリードする側に立ちます。微力ながら、日本の経験が文字通り世界の役に立ち、また世界中の経験をまとめて日本の医療者と患者さんに還元できるように、良い仕事ができればと思います。