肺RFA体験記 part4:術後経過と画像所見
2021年1月4日に、大阪の都島放射線科クリニックにて、肺内再発3か所に対してCTガイド下経皮的ラジオ波焼灼術(Radiofrequency Ablation;RFA)による治療を受けてきました。part 1では、自由診療である肺RFAを選択した背景について、
Part 2は、治療を行っていただいた大阪の都島放射線科クリニックのアクセスと、検査前に撮像したCTの画像診断について、
Part 3は、実際のRFA手技について、それぞれ詳述しました。
Part 4の今回は、RFAを受けた後の自覚症状や画像所見の変化について解説します。
1、術後の自覚症状
RFA中に用いた鎮静剤の作用で気持ち悪くなる可能性があると言われていましたが、そんなことはありませんでした(個人差があると思います)。夕食はデニーズのデリバリーを頼んで普通に食べることができました。ただ、眠くて仕方がなかったので、半分寝ながら食事をした感じで、どうやって身支度して寝たのかよく覚えていません(笑)。朝はスッキリ起きました。
起きると左胸にボコボコという異音があり、軽い息切れもあり、多少の気胸があるのだろうなと思いました。気胸については、part 5に詳しく書きます。
痛みについては、多くの患者さんは1-2週間ロキソニンを飲めば、ほとんど気にならない程度で済むそうです。私はアスピリン喘息があり、ロキソニンやバファリンなどの非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)が使えないため、トラマールという非麻薬系オピオイド鎮痛剤を東京から準備していきました。この薬は、1日最大8錠飲むことができますが、東京に帰るまでの3日間については、1日4-5錠飲めばデスクワークをして過ごすことが出来る程度の痛みで治まっていました。
むしろ、東京に帰ってから約1か月間のほうが、想像していたより痛みと違和感がしつこく残ったことを覚えています。2週間もたてば必要なくなるかなと思っていたトラマールですが、1か月間ほどはなかなか量が減りませんでした。これは、焼灼したことによる炎症というより、今回焼いた3か所の病変がそれぞれ胸膜・横隔膜・心膜に接していたため、術後に病変が収縮する過程で肺底部に向かってひきつれるように持ち上がることが原因の、二次的な痛みと思われました。そう解釈したのは、深呼吸をすると胸壁が攣るような痛み、あるいは筋肉痛が出たからです。
でも、術後1か月が過ぎるころから痛みもなくなり、2月5日を最後にトラマールを飲むこともなくなりました。この原稿を書いている今(3月21日)は2か月半経ったところですが、何の自覚症状もありません。
2、RFA完全焼灼後の正常な画像所見
RFA焼灼後の画像所見の推移を見ていきます。
RFA当日は、焼灼による熱が入った領域にすりガラス状濃度上昇が認められましたが(左図)、翌日には、すりガラスが見られた領域が収縮し、濃度が高くなりました(中図)。造影後の増強効果が目立つ領域は認めません(右図)。
RFAから2週間後の、左肺S9病変(病変①と②)のPET-CTです。左上図は、1月5日の再掲ですが、これと比較すると、さらに肺病変の収縮が進んでいます(左下図)。FDG-PETでは、癌の残存や再発を疑うような集積増加域は認められませんでした(右の2枚)
心臓に接した、左肺S8病変(病変③)の画像所見の推移です。左側の2枚が、RFAから3日の1月7日のCT、右側の2枚が2週間後の1月18日のCTです。10日あまりの間に、病変が縮小して小さくなっています。癌の再発や残存を疑うような、増強効果が多喜領域はなく(左下:造影CT)、FDG-PETでのFDGの取り込みもありません(右下)。
このように、焼灼直後は熱を加えられた領域に同心円状のすりガラス状濃度上昇が出て、その後そのすりガラスの濃度が高くなりながら収縮して結節状に小さくなるのは、RFAが成功した後の典型的な画像所見です。病変の一部が増大したり、造影後の早期増強効果が見られたり、増強効果が目立って来たり、高いFDG集積が出てきたりすると、それは残存や再発を示唆する所見になります。
3、治療から2か月経って
3月18日に、術後2か月の造影CTが行われました。焼灼した病変は小さく収縮したままでした。再発を疑うような、増大した箇所、早期濃染や、増強効果が再びでてきた場所もありませんでした。もちろん、新たな転移もありません。今回のRFAについては、完全焼灼を得て完治したことになります。
初めて肺癌になってから6年が経過しましたが、画像で見えるようなサイズの病変はどこにありません。